「雪の大谷」とは、立山黒部アルペンルートで開催される春の風物詩。
この時期、この場所でしか見ることができない大自然の景観を見るため、多くの方が訪れる人気の観光イベントです。(※2024年は6/25まで)
立山黒部アルペンルートとは、富山県と長野県にまたがる山岳観光ルートです。標高3000m級の山々が連なり、冬は雪に閉ざされますが、4月後半に遅い春を迎え、夏から秋にかけて黒部ダム、室堂などの景勝地で、大自然の雄大で美しい風景を楽しめます。
日本有数の豪雪地帯でもあり、冬場には高さ20mもの雪が積もります。豪雪に覆われた雪道を、特殊な技術を使って除雪し、閉ざされた道路を切り開き、そこにしかない絶景を生み出します。その景観を楽しむイベントが「雪の大谷フェスティバル」。毎年4月中旬から6月下旬にかけて、雪の大壁を間近で体感する「雪の大谷ウォーク」が開催されています。
雪の壁がそびえ立つ景観は魅力的ですが、子どもと一緒に訪れる際には注意が必要です。この記事では、子どもと一緒に「雪の大谷」を安全に楽しむための注意点と楽しみ方について詳しく説明します。
「雪の大谷」とは
「雪の大谷」は、立山黒部アルペンルートの室堂エリアに位置し、春から初夏にかけて見られる雪の壁が特徴です。雪の壁の高さは20メートルを超えることもあり、その壮大な景色は圧巻です。例年4月中旬から6月頃まで公開され、多くの観光客が訪れます。
事前の準備
1. 適切な服装 「雪の大谷」は標高2,450メートルに位置しており、天候が変わりやすく、気温も低いです。室堂周辺は真冬の寒さを想定して防寒具をしっかり準備しましょう。帽子、手袋、マフラーなども忘れずに持参してください。
2. 歩きやすい靴 足元が雪や氷で滑りやすくなっていることがあります。滑り止めの付いたしっかりした靴を履くことをおすすめします。登山用の防水性の高い靴や滑り止めのついた長靴などが便利です。
3. 持ち物 子ども用の手袋やマフラー、帽子などのほか、ホッカイロ、日焼け止め、サングラスなどがあると便利です。高山病予防のためには水分補給が効果的です。飲み物を携行することをおすすめします。
現地での注意点
人気の観光地のため、多くの人で混雑することがあり、注意が必要です。また、標高が高いので、体調管理に気を配ることが重要です。
雪深い山岳地であり、有毒ガスが発生しているエリアもあります。子どもと一緒に行く際は、必ず一緒に行動し、一人で外に行かせないこと、道を外れたり、禁止区域に入ったりすることのないよう気を付けてください。
1. 安全な移動 雪の壁の間を歩く際には、子どもが走らないように注意しましょう。滑りやすい場所も多いので、大人が手をつないで安全を確保してください。また、指定された遊歩道から外れないように指導することも大切です。混雑しているときは、迷子にならないように注意が必要です。
2. 高山病対策 標高が高いため、高山病になるリスクがあります。子どもは特に影響を受けやすいので、無理をさせず、具合が悪そうならすぐに休憩を取りましょう。症状としては、頭痛、めまい、吐き気などがあります。
3. 日差し対策 標高が高いため紫外線も強くなります。天気が良い時は、帽子や日焼け止めが必要な場合も。雪道を歩く時も反射してまぶしいので、サングラスがあると便利です。
4. 体温管理 寒暖差が激しいため、暑くなったり寒くなったりすることがあります。重ね着をすることで、気温に合わせて調整できるようにしましょう。
雪の大谷の楽しみ方
「雪の大谷」では、最大20メートルを超える雪の壁を間近で見ることができます。子どもにとってもそのスケール感は驚きと感動を覚えるはず。写真撮影スポットも多く、家族で記念写真を撮るのも楽しみの一つです。
1. 壮大な雪の壁を満喫 雪の壁を間近で見ながら歩けるエリアがあります。真っ白な雪も、よく見ると層に分かれていて、雪が降ったときの気象状況などがわかるそうです。そんな解説も随所にみられるので、見るだけでなく、学ぶことも楽しんでみてください。
2. 自然観察 室堂エリアは、自然が豊かで、季節ごとに様々な風景が楽しめます。春の室堂は高山植物も咲き始め、特別天然記念物に指定されているライチョウが、求愛行動でそこここに姿を見せる時期でもあります。子どもたちと自然観察を楽しめる貴重な学びの機会になるはずです。
3. 室堂センターでの学び 室堂ターミナルには「室堂センター」があり、立山やアルペンルートについての展示が充実しています。ライチョウについても詳しく知ることができます。
4. 星空を楽しむ 室堂エリアは、人里離れた雪の中にあるため、夜の星空の美しさは格別です。せっかく行くなら室堂エリアに宿泊して、星空を楽しむこともおすすめします。月のない夜の星空は、格別です。
5. アルペンルートの移動を楽しむ 「雪の大谷」へ行くためには、ケーブルカー、バス、トロリーバスなどを乗り継ぐ必要があります。この乗り物体験が立山黒部アルペンルートのひとつの楽しみポイント。子どもにとっても新鮮な体験になるはずです。
ライチョウとは
春の室堂での楽しみのひとつは、ライチョウとの出会い! ライチョウは、高山地帯に生息する珍しい鳥で、国の特別天然記念物に指定されています。ぜひライチョウを探してみてください。
ライチョウの特徴
1. 外見 ライチョウは季節によって羽毛の色を変えます。冬は白色の羽毛で覆われ、雪の中での保護色となります。夏は茶色や灰色の羽毛に変わります。「雪の大谷」シーズンに出会うライチョウは、雪の中で見つけにくい白色です。ハイマツの茂みの中や声のするあたりを注意して見つけてみてください。
2. 生態 ライチョウは、高山帯の岩場や草原に生息し、標高2000メートル以上の場所に見られます。食性は植物食で、草や小さな植物の葉、花、種子などを食べます。冬には雪の下に隠れた植物を掘り出して食べることもあるそうです。
3. 繁殖 繁殖期は6月から7月にかけてで、地面に巣を作り、4~10個の卵を産みます。約3週間でヒナが孵化すると、ヒナは生後数日で自力で歩き回り、親鳥とともに餌を探しはじめます。
保護と現状
ライチョウはその生息地が限られているため、環境変化に非常に敏感です。日本では特別天然記念物に指定され、保護活動が行われています。見つけたら、静かに観察すること。絶対に食べ物などを与えないようにしましょう。
立山の神の使い
ライチョウは日本の文化や伝説にも登場します。特に立山では「立山の神の使い」として尊ばれており、地域のシンボルとなっています。おみやげにも、ライチョウの愛らしい姿を描いたものがたくさんあります。きっと思い出深いお土産になりますよ。
宿泊について
室堂エリアにはいくつか宿泊施設があります。ここでは、子どもとの旅行におすすめの2つの宿泊施設をご紹介します。
ホテル立山
室堂駅直結、「雪の大谷」から一番近い宿泊施設が、ホテル立山です。ホテル立山は、標高2,450メートルに位置し、立山黒部アルペンルートの室堂ターミナルに直結しています。
日本で最も標高の高い場所にあるホテルとして知られ、四季折々の絶景が楽しめます。快適な客室、地元の食材を使った料理、そして入浴施設を備えており、登山や観光の拠点として最適です。
夜になると宿のスタッフの方が星空観察会を開催。高所ならではの澄んだ空気と美しい自然環境で聞く星空解説は、特別な思い出になることでしょう。
宿泊者限定の、長靴やスノーシュー、雪遊びグッズなどの貸し出しがあり、とても便利です。
みくりが池温泉
みくりが池温泉は、富山県立山町にある、日本一高所にある温泉宿です。標高2,410メートルに位置し、室堂駅から歩いて15分~30分ほどの場所にあります。
山小屋風の建物で、シンプルながら清潔な客室が用意されています。温泉を備えた快適な宿泊が可能です。宿泊者以外の方の立ち寄り入浴も可能です。
温泉の泉質は単純硫黄泉で、硫黄の香りが特徴です。登山やトレッキング後の疲れを癒すのに最適です。
最後に
「雪の大谷」は、子どもにとっても大人にとっても忘れられない感動体験となるでしょう。しかし、自然の厳しさと高山特有のリスクもありますので、安全に楽しく過ごすためには事前の準備と現地での注意が欠かせません。家族みんなでしっかりと準備を整え、素晴らしい体験をしてきてください。