この夏、家族旅行で北海道を訪れ、オープンしてから気になっていた「界ポロト」に宿泊してきました。
結論として、ラグジュアリーな大人旅はもちろんですが、小学生~中学生ぐらいのお子さんを持つ家族旅行に、とてもおすすめの場所だと感じました!!
夫婦と小学生の息子の3人で訪れた宿泊記をご紹介します。
界ポロトとは
界ポロトは、星野リゾートの温泉旅館ブランドである「界」シリーズの施設で、2022年1月にオープン。
「界」シリーズとしては北海道初進出で、白老温泉を源泉かけ流しで提供している温泉旅館です。
「ポロト」とは、アイヌの言葉で「大きな沼」を意味します。
その名の通り、ポロト湖のほとりに宿泊施設「界ポロト」があります。
そして隣に、伝統的なアイヌ文化を体系的に学ぶことができる「ウポポイ(民族共生象徴空間)」があります。
ウポポイには、国立アイヌ民族博物館や伝統的コタンを再現した施設などがそろっていて、ショーや体験コンテンツがたくさんあります。北海道には各地にアイヌ文化を学べる施設がありますが、ここは広くていろいろ揃っていて、新しくてきれいで快適!とても楽しめました。詳しくは後述します。
界ポロトのお部屋
スタンダードタイプのお部屋は定員3名。窓の外にはポロト湖の景色が広がり、部屋の中にはアイヌ文様をイメージしたデザインやアートが飾られ、アイヌ文化を肌で感じることができます。
テーブルは囲炉裏をイメージしたつくりで、中央に明かりが灯ります。これが、炎のような揺らぎを再現していて、夜になると癒やし空間が登場!!
窓際のソファーがとても心地よくて、お部屋にいる時間も快適でした。
界ポロトの温泉
界ポロトの施設内には、2つの湯屋があります。
ひとつは、とんがり湯小屋△の湯(さんかくのゆ)。
アイヌ文化の建築特徴「ケトゥンニ」を基本構造とし、源泉かけ流しの「あつ湯」と「ぬる湯」2つの湯船でモール温泉を楽しめます。ぬる湯は露天エリアに繋がり、ポロト湖の湖畔沿いに美しい四季の景観が広がります。
△の湯のロビーにある三角の窓。この窓から見えるポロト湖の景色もとても美しくてステキでした。ロビーにはティーサーバーとアイスキャンディーが置いてあるので、ここでも入浴前後の水分補給と糖分補給ができますよ。
滞在中に何度か入浴しましたが、そのたびに、ここでゆっくり景色を眺めている人が絶えずいました。たぶんこのソファが、界ポロトの中で一番人気の場所なんじゃないかな。
もうひとつは、〇湯(まるのゆ)。
ドーム型の内風呂で、天井の丸い穴から光が差し込む洞窟のようなお風呂です。
こちらは、宿泊客以外の方も日帰り利用が可能で、町民の方は限定の割引料金があるそうです。
泉質は、弱アルカリ性単純温泉。
炭酸水素イオンを多く含み、有機物を含むモール泉なので、お肌がつるつるになります。
界ポロトの食事
界ポロトは旅館スタイルなので、基本は1泊2食付き。朝食と夕食はともに、館内の食事処でいただきます。
食事処は半個室になっているから、子ども連れでもあまり周りを気にしなくていいのが助かります。夕食はポロト湖をのぞむお席で、季節の会席をいただきました。
季節の会席は、1つずつ手作りの熊が運ぶ先付をはじめ、アイヌ民族が交易に使用した丸木舟をイメージした宝楽盛りなど、ひとくちごとに旬の食材を堪能しながら、ゆっくり時間をかけて楽しめました。
なんとこのクマちゃん、1つ1つ手作りなんだそうです。
ちなみに、子ども連れの場合の旅館の夕食って困ることもあるのですが、「界」の夕食では、子ども向けの和食膳が用意されるので安心です。
ピンぼけですみません…。ついお料理に夢中で…。
お盆のような器を上げると、その下にさらにいろいろなおかずが出てきて……。お造りや茶わん蒸し、お汁にごはんなど、様々な品を盛り込んだ和食膳、子どもにも食べやすくおいしいものがそろっていて、楽しい夕食時間を過ごしました。
なんと朝食には、アイヌ文化を感じる「すり流し鍋」が登場。思わず「ヒンナヒンナ」と言ってしまう嬉しい体験でした!
界ポロトのアクティビティ
アイヌ仕様の魔除けをつくる体験は、6歳以上ならだれでも無料で参加できます。アイヌ民族が悪いモノを遠ざけるとして身につけたというイケマという植物とハーブを組み合わせて、オリジナルの魔除けをつくります。
早朝体操
朝、ロビーで寝覚めの体操に参加してきました。呼吸法やアイヌの踊りを取り入れた体操で、楽しみながら朝の寝覚めをすっきり覚醒することができたので、おすすめです。
ウポポイとは
ウポポイ(民族共生象徴空間)は、アイヌ文化の復興・創造等の拠点となるナショナルセンターです。
2020年7月にオープン、豊かな自然に抱かれたポロト湖のほとりで、アイヌ文化の多彩な魅力に触れることができます。
アイヌ民族は、日本語と系統の異なる言語である「アイヌ語」をはじめ、自然界すべての物に魂が宿るとされている「精神文化」、祭りや家庭での行事などに踊られる「古式舞踊」、独特の「文様」による刺繍、木彫り等の工芸など、固有の文化を発展させてきました。それを間近で体験できる場所。
ちなみに「ウポポイ」は、アイヌ語で「(おおぜいで)歌うこと」を意味します。
ウポポイおすすめポイント
国立アイヌ民族博物館は、先住民族アイヌの歴史と文化を主題とした日本初・日本最北の国立博物館です。アイヌの歴史や文化を体系的に学ぶことができて興味深いです。
アイヌは文字を持たず、文化は口承で伝えられてきました。現在は、ローマ字やカタカナで表記されているものの、「消滅危機が深刻な言語」とされています。
ウポポイは、そんなアイヌ語を様々な視点で学ぶことができる場所でもあります。施設内ではスタッフの方が気軽にアイヌ語であいさつし、展示、案内すべてにアイヌ語が併記されているので、アイヌ語を覚えたり使ってみたりする楽しさがあります。
また、料理体験や食体験、彫刻や楽器演奏などの伝統、文化体験など様々なアクティビティがありました。
たとえば、竹でできた楽器を奏でる「ムックリ」体験。敷地内のステージで演奏を見ることもできるのですが、見ただけでは何をどのように音を出すのか想像もつかなかったので、スタッフの方に使いかた、音の出しかたを教わるアクティビティに参加したところ、すごく難しいですがなんとか音が出せそうだ、というところまで上達しました。
ちなみに、施設内のスタッフの方は、みんなムックリを演奏できるのだとか。すごい。
ウポポイと界ポロト
ウポポイは広くてたくさんのイベントを開催しているので、じっくり体験するなら数日かけてみてまわるのがおすすめです。ちなみに、2日以上入場するなら、年パスがお得です。
ウポポイ観光がメインなら、すぐ隣にある界ポロトの宿泊が断然便利です。界ポロトからウポポイまで、駐車場を横切るだけ。ゆっくり歩いても5分程度です。
おすすめの季節は?
北海道といえば、夏と冬で大きく景色が変わります。界ポロトの宿泊におすすめする季節は、夏も冬もどちらもおすすめ。
夏の特定日には夜間営業が行われ、ウポポイを長い時間かけて楽しめます。また、冬はポロト湖でワカサギ釣りなどが楽しめます。
界ポロトのある白老町の近くには、登別温泉の地獄谷や、支笏湖に洞爺湖、昭和新山など、様々な観光名所が点在しています。レンタカーなどで近隣スポットを巡るなら夏、滞在型でゆっくり楽しむなら冬もおすすめです。
夏と冬で、楽しめることが全く異なるので、他の観光などとも合わせて、自分にちょうどいい季節を選んでみてください。
界ポロトの子連れ旅
北海道の旅行は移動時間が長くなりがちです。そんな中で、界ポロトへのアクセスは、新千歳空港から車で約40分、電車の場合、JR札幌駅から北斗12号で約65分。そして、JR白老駅からは徒歩約10分という場所。アクセスの良さが大きな魅力です。
ウポポイの入り口付近は駅に近く、ときおり列車が通る豪快な音が聞こえます。
アクセスが便利なので、小さな子どもを連れた旅行でも安心です。ウポポイは博物館や体験館などが多いので、小学生から中学生程度の大きなお子さんの夏の研究や学習体験に、ちょうどいいと感じました。