子ども・赤ちゃんと温泉、いつから行ける? 温泉ソムリエが解説

赤ちゃんを連れて温泉、いつから行ける? BABY
蓼科親湯温泉の貸切湯

赤ちゃんはいつから温泉に入れるの?
どんな基準で温泉旅館を選ぶべき?
温泉ソムリエをしているので、このような質問をよく受けます。
子どもと一緒に温泉旅行を計画している人に役立つポイントをお伝えします。

はじめに

0歳児の赤ちゃんは肌も抵抗力も弱いから、家庭でも最初の1か月間はベビーバスを使うように、と病院や保健所で指導を受けます。1か月を過ぎて、やっと家庭のお風呂に入れるのですから、公共の入浴施設に入れるようになるには、もう少し時間が必要です。

ここで問題なのは「温泉」ではなく、赤ちゃんが入浴する「お湯が清潔」かどうか。言い換えれば、「清潔な温泉なら、生まれてすぐにでも温泉に入れる」と言えるでしょう。現に、温泉地で生まれた赤ちゃんの産湯が温泉だったり、温泉地では家庭の蛇口から温泉が出るところがありますので、毎日温泉に入っているという赤ちゃんもいますから。

利用者が多い公共の場を避ければ、赤ちゃんが温泉に入ることをそれほど怖がる必要はありません。ただし、赤ちゃんの抵抗力には個人差がありますので、心配なうちは温泉を控えましょう。体調がすぐれないときや機嫌が悪い時なども無理をさせないことが大切です。

赤ちゃんと行く温泉を選ぶとき、確認しておきたいポイントがいくつかあります。例えば、赤ちゃんと温泉に入るときは、ベビーグッズがあると安心です。いくつかのポイントを押さえて、赤ちゃんとの温泉旅行を計画してみてください。

泉質を選ぶ

まずは、泉質を選ぶこと。大人でも肌が負けてしまうような強い温泉は赤ちゃんが疲れてしまいます。抵抗力も肌も弱い時期ですから、やさしい泉質の温泉を選びましょう。

やさしい泉質とは…

・泉質名に「単純温泉」と書かれているもの
・温泉分析表の「溶存物質(ガス性のものを除く)」の数値が1000㎎/kg程度の温泉
・泉質名のつかない温泉

など、あまり濃すぎない温泉のことを指します。溶存物質が少ない場合でも「放射能泉」や「硫黄泉」「酸性泉」は湯あたりしやすいとされているので、赤ちゃんには避けたほうが無難です。ちなみに肌がとても弱い我が家の息子は、塩分の強い温泉(泉質名は「塩化物泉」)でも肌が負けてしまうため、湯上がり時に入念に洗い流すようにしています。

お湯の新鮮さを確認

多くの人が利用するとお湯は汚れていくものなので、清掃後やお湯を入れ替えた直後など、利用者が少ない状態のほうが清潔と言えます。赤ちゃんのうちは、大浴場ではなく家族風呂や貸切風呂などを利用することも検討しましょう。また、旅館に温泉の利用方法を確認し、かけ流しの温泉を選ぶことで新鮮なお湯に出会えることもあります。

オムツが取れていない赤ちゃんに、大浴場の利用を制限している温泉施設もあります。せっかく行ったのに入れなかった!そんな悲劇に見舞われないように、前もって赤ちゃんの温泉利用が可能かどうか、ベビーバスなどを利用できるかどうか、貸切風呂があるかどうかなど、事前に確認しておきましょう。

お湯の温度を確認

赤ちゃんと入るなら、お湯の温度は「ぬるめ」のところを選びましょう。生まれたての頃は、体温より少し高い程度のお湯に浸かっていた赤ちゃんが、少しずつ高い温度のお湯に慣れていくのですから、温泉だからと言って熱いお湯にはとても入れません。ベビーバスを使ってぬるめで入りやすい温度のお湯を作ってあげると、赤ちゃんも気持ちよく温泉を楽しめます。

そのほかのベビー対応

最近は、赤ちゃん連れにやさしい宿が増えています。温泉だけでなく、離乳食の対応や、子ども用グッズの貸出など、便利なサービスもたくさんありますので、事前に確認して宿選びの参考にしましょう。

赤ちゃんの温泉デビューにおすすめの温泉旅館

赤ちゃんと温泉に行きたいママ・パパにおすすめの温泉をご紹介します。

蓼科親湯温泉

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蓼科親湯温泉の赤ちゃんプランの部屋(一例)

長野県にある「蓼科親湯温泉」は、北八ヶ岳の蓼科山のふもとにある一軒宿です。赤ちゃんと一緒でも心から安心して旅行を楽しめる、赤ちゃん連れにやさしいおもてなしの宿。赤ちゃんプランは部屋食、赤ちゃんには離乳食対応など、様々なうれしい配慮がたくさんあります。

一番の特徴は、大浴場に畳を敷き詰めた「お座敷風呂」。万がいち風呂場で転んでも大きなケガは防げます。また、洗い場が畳だから、まだ座れない赤ちゃんを床に寝かせて、自分の体をゆっくり洗うこともできます。

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大浴場は畳を敷き詰めた「お座敷風呂」で赤ちゃんも安心

温泉の泉質は、単純温泉です。大浴場のほかに、貸切で利用できる露天風呂があり、赤ちゃんプランなら30分無料入浴付き。お風呂から絶景を満喫できます。

赤ちゃんと一緒の旅行だとかさばる荷物がたくさんありますが、ミルクや離乳食、なんとオムツまで使い放題の「赤ちゃん大満足プラン」があり、オムツ、ミルクはほぼ全メーカーのものが揃っていて必要な時に必要な分だけ使えます。「オムツ足りるかな」なんていう不安がないので、パパ・ママが日頃の疲れを癒し、ゆっくり温泉を楽しめます。

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赤ちゃんにやさしい「蓼科親湯温泉」は秘湯感のある高原リゾート

私自身、息子がまだ小さいときに取材のために訪れて、心から感動した宿です。

名栗温泉 大松閣

埼玉県飯能市にある温泉宿「大松閣」は、その昔、材木商を営んでいた若き棟梁がこの地に旅館をたてたのが始まりなのだそうです。だからでしょう、大松閣の建物に一歩足を踏み入れると、芳醇な森の香りに包まれます。この地域は昔から「西川材」という木材の生産地。豊かな森に囲まれた一軒宿です。

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埼玉県飯能市にある「名栗温泉 大松閣」は赤ちゃんにやさしい温泉宿

赤ちゃんプランは、2つの貸切風呂のうちいずれかを50分間利用できるので、家族でゆっくり温泉を楽しめます。また、夕食を部屋で用意してもらえるのもうれしいポイント。赤ちゃんのミルク、離乳食は持ち込み可能。頼めば温めてもらうこともできます。

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夕食は部屋で、朝食も希望者はオプションで部屋食対応可能です

温泉はpH9.4という高アルカリの冷鉱泉で、肌に触れるとツルツルします。大浴場は内湯と露天風呂があり、どちらも緑に囲まれ森林浴気分を味わえます。

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「名栗温泉 大松閣」の女性展望大浴場

飯能市といえば、ムーミンのテーマパークがある「メッツァ」で知られるようになりました。大松閣からメッツァまで、車で30分ほどです。

赤ちゃんとの温泉旅行、私は応援しています。赤ちゃんが生まれたら、それまでの生活が一変するので、大きなストレスを感じる機会が増えるでしょう。仕事をしていて育休中なら、育休が明けてしまえば仕事と家のことで目まぐるしく忙しい毎日が始まります。仕事をしていない主婦ならなおさら、毎日子どもと付きっ切りで、トイレに行く時間も取れないほど自分の時間がなくなります。だから、行きたいとき、行けるときに温泉に行って、ゆっくり自分自身をいたわる時間を、定期的につくったほうがいいと思うのです。

ただ、赤ちゃん連れに配慮のある宿を選ばないと、せっかくの旅が台無しになることも。部屋食対応の宿はとても少ないので、食事会場で赤ちゃんが泣きだしたりしたら、ゆっくり食事を楽しむことができません。部屋にオムツ用のゴミ箱の用意がなければ、たった1泊分でも使用済みオムツが匂って、大変なことになります。

赤ちゃんと一緒に温泉に行くなら、事前に旅館を知らべて確認して、赤ちゃんに優しい配慮のある宿を選んでくださいね。